住宅ローンの仕組みについて理解することは、自分に有利な条件が設定されているローンを選ぶ重要な知識になります。
住宅ローンには、住宅金融機構(元・住宅金融公庫)が独自で扱うものや住宅金融機構(元・住宅金融公庫)と民間金融機関が提携して取り扱うフラット35のような全期間固定金利型のもの、民間の金融機関が独自で扱う変動金利型や固定期間選択型があり、それぞれの仕組みにも違いがあります。
まず、全期間固定金利型とは、返済が完了するまでの全期間をとおし、同率の金利が適用されるタイプで、返済計画が立てやすいというメリットを持っているため、低金利の時期に利用すると有利になる反面、金利が高い時期に利用すると、その金利が最後まで適用されてしまうというデメリットがあります。
一方、変動金利型は、利用開始後に金利が下がった際、その金利を利用できるため、金利が高い時期に利用する場合は、メリットが大きいと言えます。
逆に低金利時に利用し、後で金利が上がった場合は支払い額も上がるため、返済計画を立てづらいというデメリットがあります。
固定期間選択型は、その中間といえ、借入時に3年、5年、10年などの期間を選択し、その一定の期間だけを金利を固定にして利用するタイプです。
3年など固定期間が短期間のものを選択した場合、金利が安くなるメリットがある反面、固定期間終了時に金利見直しが生じるため、金利が上がってしまうリスクがともないます。
住宅ローンの仕組みを理解するには、金利タイプの理解に加え、返済方法の理解も必要です。
返済方法には『元利均等返済』と『元金均等返済』の2種類あります。
『元利均等返済』は、返済総額は多めになってしまうものの、毎月の支払額が一定で計画が立てやすいため、一般的に利用されているのが、このタイプです。
『元金均等返済』は、毎月の支払額が上がるものの、利息部分が少しずつ減っていくため、支払総額も『元利均等返済』に比べ、少なくなります。
そのため、資金計画に余裕がある場合は、『元金均等返済』タイプを選択する方がメリットが大きいと言えます。
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住宅ローンの種類(民間融資)
住宅ローンには、国や自治体などが融資する公的融資と、民間が融資する民間融資とがあります。
民間融資の主なものには、都市・地方・信託などの銀行系。
信用金庫・信用組合などの信金系。
労働金庫・JA(農協)系。
住宅ローン専門会社・生命保険会社や損害保険会社・社内融資・それとノンバンク系などに分類されます。
融資内容や利用条件はそれぞれに違っていて必ず借りられるとは限りません。
住宅ローンは、借りやすく返しやすのがベスト。
民間融資は、公的融資に比べ、取得物件に対する制約が少ないところがメリットです。
どの期間でローンを組むのが適しているのか、代表的な系統を説明します。
まずは銀行系から。
銀行には、都市・地方・第二地方・信託などがあります。
収入などの返済条件をクリアすれば、誰でも利用できます。
地方銀行や第二地方銀行は、地域的な制約がありますが、自分の地域にない銀行から融資を受けることはないので、問題にはならないと思います。
利便性を優先させるなら、給与・公共料金の振り込みなど普段の生活で利用している金融機関で借りるのが便利といえます。
次に信用金庫・信用組合系。
信用金庫も信用組合も、その地域に根ざした金融機関なので、利用できるエリアに居住(勤務)できることが絶対条件となっています。
この辺は都市銀行以上にシビアかも。
また、信用金庫・信用組合ともに、会員・組合員の資格を得ることが融資利用の前提となっています。
資格を取るには、その地域に住んでいるか仕事をしていること、そして一定額以上の出資をすること。
出資額は、概ね1000円以上なので、事実上、誰でも会員や組合員になれるということですね。
信用組合と信用金庫は似ているようですが、信用金庫の方が広い地域を網羅していることが多いようです。
また、資格などの制限も緩いので、使い勝手がいいようです。
労働金庫・農協系はどうでしょうか。
中央労働金庫の場合は信用金庫などと同様に、会員・組合員を利用対象にしています。
5000円の入会金を払って「レインボー倶楽部」の加入会員になるか、5000円の出資金を出して個人会員になれば、一般の人でも利用が可能です。
中央労働金庫では融資の最高額が、なんと1億円。
農協系では、住宅その他のローンを、JAバンクに一本化しています。
JAバンクを利用できるのは、農協組合員だけですが、それ以外の人でも手続きを踏めば利用が可能となります。
JAバンクは、それぞれの地域によって、取扱状況・融資条件などが異なることがあります。
なにができるのかは、実際に利用する窓口で、確認してください。
最後に、ノンバンク系。
銀行以外で、お金を貸す業務をしている企業のことを総じてノンバンクといいます。
一般には、消費者金融や商社金融、それとクレジットカード会社や信販会社、リース会社など。
楽天なんかも、活動しています。
ノンバンクは、貸金業規制法に基づいて登録をするだけで営業することが可能なのでこのように、さまざまな業種が参入しているんです。
ノンバンクの住宅ローンには、金利が高いイメージがあります。
でも、「フラット35」なども取り扱っているので、そういうプランを選択すれば、公的融資と違いがありません。
ただし、自分で直接ローン会社とやり取りするケースがほとんど。
なので、住宅会社を通したような気配りのある手配は難です。
地域性を上手に使うのがいいのか。
最終返済額が高くても、支払いの楽なものを選ぶか。
どの住宅ローンを利用するにしても、余裕のあるプランを選択したいものです。
住宅ローン控除
普通のサラリーマンにとって、一戸建ての住宅やマンション購入は、1つの夢であり目標でもありますが、そのん千万円の住宅を、キャッシュで買えるだけの財力の持ち主は少なく、ほとんどの方は住宅ローンを組みます。
その、住宅ローンを組んだ方が、一定の条件に当てはまれば、その年に納めた税金からいくらか還付されるという制度のことを「住宅ローン控除」といいます。
一般的には「住宅ローン控除」と呼ばれていますが、正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。
これは、住宅ローンを利用して住宅を購入・新築・増改築等をした場合を含めます。
その年に納めた税金というのは、その年に納めた所得税であり、その所得税が還付される減税制度の事です。
それは、その年の年末のローン残高に応じて所得税の控除を受けることができる優遇税制のことなのです。
その条件を挙げてみます。
@住宅の新築・取得、住宅の取得とともにする敷地の取得、一定の増改築等に於いて、借入金の償還期間が10年以上であること。
A住宅の新築、新築住宅の取得、増改築等それぞれ、床面積が50m2以上であること。
B既存住宅の取得の場合は、床面積50m2以上かつ、築後20年以内(耐火建築物は25年以内)又は地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準に適合していること。
Cその方の年間所得が3000万円以下であること。
などが、住宅ローン控除の対象となるための条件となります。
1つのモデルを例に説明します。
分譲価格5000万円(税込み)の新築マンションを、頭金1000万円、住宅ローン4000万円(平成17年末時点の残高は3800万円とする)で組んで購入し、平成17年に入居している。
@住宅ローンの名義人が、1月1日〜12月31日までの1年間に徴収された所得税額=25万円。
A住宅ローンの年末残高に、対象年ごとの控除税率をかけた金額=38万円(3800万円X1%)。
上記@またはAのうちどちらか少ない金額が本人の還付税額となり、確定申告によって還付される減税額(初年分)は25万円となります。
「年末ローン残高の1%」だけが頭にあり、38万円が返ってくると思いこんではいけません。
年間に支払った、25万円の所得税が返ってくるだけです。
ただし、これは自動的に返ってくるものではなく、翌年2月16日〜3月15日の期間中に、確定申告を行う必要があります。
注意が必要です。